柳宗理の傑作ボウル&ストレーナー
徹底的に機能にこだわった名品
料理道具には、鍋やフライパンといったすぐ思い浮かぶような道具以外にも、よく使うものはたくさんあります。ボウルやざるはその代表的な道具で、食材を洗う、水切りなどの調理の下ごしらえや、調味料をあえたりと、使用頻度はとても高いアイテムです。こうした調理に欠かせない道具だからこそ、使いやすさが料理の効率に直結します。今回紹介する柳宗理のボウル&ストレーナー(ざる)は、使い勝手を重視して作られた、機能性の高い美しいデザインの傑作調理道具です。機能美を体現した美しいフォルムと、効率を向上する優れた実用性で、キッチンには欠かせないツールです。
日本を代表するデザイナーによるツール
柳宗理は1915年生まれ(2011年没)のインダストリアルデザイナーで、世界的に有名な「バタフライ・スツール」(椅子)をはじめとする家具、調理器具、照明器具、陸橋などと幅広く活躍しました。その作品はニューヨーク近代美術館(MoMA)やルーブル美術館などでも保存されるなど、高い評価を得ています。その柳宗理がデザインした調理器具の中でも、傑作と呼ばれることの多いのが、このステンレス製のボウルとストレーナーです。
柳宗理のデザインは実物大モデルをつくり、模型を使用することで実用性を確かめ、デザインを仕上げていくといいます。そのため実際に使ってみると、その使い勝手の良さが実感できます。たとえば、ステンレス製のボウルは、上品なつや消しで、表面にヘアライン加工が施されています。これは使い込んでも、傷などが気にならず、いつまでも気持ちよく使えます。
この実用性重視は、形状にもあらわれ、サイズごとに用途に合わせたフォルムになっている徹底ぶりです。13、16、19cmのサイズのものは、器としてもそのまま使えるシャープなデザインで、テーブルに置いたときに安定するように、底部が平らになっています。しかしそれより大きい23cmのものは、攪拌しやすいように曲線が深く球形になっています。さらに大きな27cmは、サラダの盛り付けに適した低めの広い形で、洗い桶として利用したときも出し入れがしやすい形状です。
使い勝手の良さが際立つストレーナー
ストレーナーは水切りの用途に使うものだが、これも実際に使ってみるとこの製品の使い勝手の良さがよくわかります。一般的なストレーナーはワイヤーの編み込み式でできていますが、この製品はステンレスの板にたくさんの穴を開けたパンチングタイプ。水きれがよく、ワイヤーとワイヤーの編み目の部分に食材が挟まったりすることもありません。この洗いやすさは衛生面においても好ましく、ワイヤーのように切れることもないので、耐久性においても優れています。
また形状をよくみると底部の中央が少しへこんでいます。これはボウルと合わせて使ったときに、接地面が少なく、水きれがしやすくなるためです。さらに底に隙間が生まれ、中に入れた食材が水に触れにくくなっています。水切りやこすといった作業時に効果的です。ボウルとの組み合わせで使ったときの一体感もよく、野菜やフルーツなどを洗ったあとに、そのままボウルに入れてテーブルにだしても美しいでしょう。
ストレーナーは16、19、23、27cmが用意されており、ボウルとストレーナーを合わせても、サイズ違いできれいにスタッキングすることができるので収納にも便利です。
実際に使うとサイズをそろえたくなる
今回紹介しているのは、16、19、23cmの3サイズのボウルとストレーナーのセット。これを使って、実際の調理に活用してみました。まずはボウルで野菜にドレッシングをあえてみます。深くて丸みを帯びた球状のフォルムは、全体をまんべんなくあえるのにとても適しています。
つぎにストレーナーを使ってフルーツを洗い、ボウルに置いて水切りしました。ボウル自体が美しいデザインなので、そのままフルーツを入れる器としてテーブルに置けます。
続いて冷製パスタを作ってみたます。ボウルにあらかじめソースを用意しておき、パスタがゆであがったらストレーナーに移して流水で冷やします。パンチング穴の細かい目はパスタにはちょうどよく、水きれもよく冷やせます。最後にボウルにパスタを入れて、麺とソースをきれいに絡めてできあがりです。そのままボウルをテーブルに置いてシェアして食べてもいいですし、きちんと皿に移してもいいでしょう。
料理をしていると、切った食材を一時的に置いたり、粗熱をとるために別の容器に移しておくといったケースは少なくありません。何点かの同時調理をしているととくに、ボウルやストレーナーを使う機会は増えてきます。できればいろいろなサイズを用意しておきたくなります。柳宗理のこのボウルとストレーナーは、使うほどによさを実感でき、もっといろいろなサイズをそろえたくなる実用性の高い名品でしょう。