一生もののタークのクラシックフライパン

一般家庭で使われているフライパンの多くは、フッ素樹脂加工された、くっつかないフライパンです。このフライパンはたしかにはじめはくっつかないのですが、強火で使えない、使っているうちに樹脂がはがれてくるなどのデメリットもあります。

そこで再び脚光を浴びているのが鉄のフライパン。なかでもドイツのTurk(ターク)のクラシックフライパンは、一枚の鉄板からたたき上げて作り上げる鍛造フライパンです。でこぼことした無骨なフライパンは、機能性に著しく優れ、質実剛健、一生もののフライパンです。

1857年から続くドイツの老舗ブランド

タークは、約150年前の1857年にドイツの鍛冶職人のアルバート=カール・タークによって創業されました。クラシックフライパンは、鉄の塊を真っ赤に熟し、何度も叩いて整形させた鍛造フライパン。代々技術を受け継いだ職人によって、今なお当時の製法で作り続けています。

叩きだして作られているフライパンは一体成型なので、持ち手の部分をつなぐリベットや溶接面がなく強靱です。適切な手入れをしていれば半永久的に使用できます。鍛造により密になった素材は、熱まわりがよく、蓄熱性が高いのも特徴。十分加熱したフライパンなら、食材を入れても温度が下がりにくいのです。たとえばステーキは、強火で表面を焼き付ければ、外はかりっと、中は肉汁をだめたジューシーな仕上がりになります。

フッ素樹脂加工されたフライパンは、強火が使えず(使うとすぐにはがれてきてしまう)、素材も薄いため蓄熱性が低いのです。そのため焼いたり、炒めたりといった調理では、加熱に時間がかかり、結果的に食材の水分がでてしまいべたべたな仕上がりになってしまいがち。

ところがこのフライパンなら、パンケーキを焼けば、表面はかりっと、中はふんわりというお店の仕上がりが実現できます。炒めものも水っぽくない歯ごたえがしゃっきりします。しかも高温でしっかり加熱するので、素材のもつ本来の味がしっかり凝縮されておいしくできあがります。実際にいくつかの料理をしてみたので、その実力を紹介しましょう。

持ち手部分も一枚板を叩き出して作っているので、本体との接合部分にリベットなどがありません。
表面に微妙な凹凸があるので、油なじみがよく、鉄のフライパンながら食材もくっつきにくいというメリットも。

鉄の良さは料理で使ってみて実感できる

ステーキは表面かりっと、中身はジューシー

まずはじめはステーキ。あらかじめ常温に戻しておいた牛肉(オーストラリア差の赤身肉)を用意し、フライパンを十分に加熱します。煙がうっすらでるほど加熱したら、中火にして牛脂をフライパンに塗りつけます。

肉には焼く直前で塩コショウをふりかけ、フライパンに投入。片面を1分ほど焼いたら、ひっくり返してふたをして2分半。焼き色をみて取り出して、アルミホイルに包んで5分ほど休ませます。すぐに肉をカットしてしまうと肉汁がどんどん漏出してしまいますが、休ませることで肉汁が中にためこまれます。

休ませたステーキを切って皿に盛り付けます。表面はかりっとして、中身はジューシー。かむほどに赤身肉の旨味が楽しめます。赤身肉だったので焼き加減は少し強めにしていますが、もっと脂の多い部位ならもっとレアでも楽しめるでしょう。しっかりとした焼き目と、焼き過ぎない絶妙の加熱は、まさにこのフライパンならではです。

パンケーキもベーコンエッグも絶品

パンケーキも焼いてみましたが、表面が適度にかりっとしていて、中のふわふわ感が素晴らしい。鉄の分厚い素材に熱が蓄められているので、表面が均一に焼けて、中の水分も保たれているのでしょう。

もうひとつ朝食メニューとして、ベーコンエッグも作ってみました。ベーコンをしっかり焼いて、目玉焼きを載せただけのものですが、水分が抜けすぎないでしっかりとした焼けます。いつもの目玉焼きが、ワンランク上の仕上がりになっています。とても豪華な朝食メニューになりました。

パエリアもできる

さらに鶏のパエリアも作ってみました。具材を焼き付けてから取り出し、米を炒めてスープで煮込んだものです。実際の煮込み時間は15分で、あとは10分ほど蒸らしただけ。少し堅めに炊けた米に、鶏や野菜の旨味がしっかりと含まれたごちそう料理になりました。

フライパンでそのままサーブしても様になるも魅力です。こうした料理はキャンプなどでも簡単にできるので、アウトドアでも活躍できます。ちょっとくらい雑に扱っても丈夫な鉄のフライパンならではの使い勝手といえます。

手入れをして育てて使うフライパン

鉄のフライパンは、焦げ付きやすいという印象を持つ人もいますが、実はきちんと手入れされた鉄のフライパンは、適切に調理すれば焦げ付くこともありません。とくにこのクラシックフライパンは叩きだしによって表面に微妙な凹凸があるので、油なじみもいいのです。

最初の使い始めには、油をなじませる焼きならしという作業が必要です。しっかりと洗って乾かしたフライパンに、油を入れて塩と野菜くずを弱火で10分程度火にかけて油をなじませるだけなので、面倒ではありません。

その後、使うときの注意点は、まず十分に加熱しておいてから、油をなじませ食材を入れることです。使い終わったときには洗剤を使わずにお湯で汚れを落として、すぐにきちんと乾かすこと。これだけで、使っているうちにどんどん油がなじんできて、くっつきにくい使いやすいフライパンとして育っていきます。

もし焦げ付かせてしまっても大丈夫。お湯を入れて十に分焦げをふやかして、金たわしでこすればいいだけ。焦げがひどければクレンザーなどでこすって、また焼きならしをすればもとに戻ります。加工がはがれたら交換、というフッ素樹脂加工のフライパンと違って、育てて、メンテナンスしてずっと使い続けていくフライパンなのです。

本体は26cmで約1.5kgと、かなり重量感があります。軽快に振り回して使うフライパンではないし、女性なら出し入れだけでも面倒になる重さかもしれません。でもこのフライパンは、焼く、炒める、煮るという調理に万能に使え、しかもワンランク上のレベルに引き上げてくれます。しかも一生もの。ぜひそろえておきたい逸品です。

turk(ターク) クラシックフライパン