匠の職人技で作られたカーボングラファイト鍋

「アナオリ カーボンポット」は、カーボン(炭素)を原料にした調理器具です。熱伝導性が高く、遠赤外線効果が高く、食材をむらなく加熱できます。この素材が広く知れわたったのは、高級炊飯器の草分けとなった三菱電機の炭釜です。実はこの炭釜を共同開発していたのが、本製品の製造元である穴織カーボンでした。アナオリ カーボンポットは、炊飯がおいしくできるだけでなく、焼く、煮る、炒めるなどにも活用できるという多機能鍋です。

職人による削り出しで作られる鍋

 穴織カーボンは1962年に創業し、モーター用のカーボンブラシ製造から開始し、工業用カーボングラファイトの精密加工などを行ってきた企業です。カーボンの遠赤外線効果に着目し、炊飯用にカーボン釜を作って飲食店などで使われていました。それに注目したのが三菱電機で、電気炊飯器に採用して大ヒット、やがて高級炊飯器ブームを引き起こしました。

 本製品の素材であるカーボングラファイトは、膨大な圧力と最高3000℃におよぶ焼成を繰り返して、約100日かけて材料を作り上げています。溶かして固めたりするプレス加工はできないので、この材料を削り出して作られています。0.01mm単位の切削加工技術が用いられ、職人による匠の技術が欠かせないという製品です。大量生産には向かない分、価格も高くなります。

 アナオリ カーボンポットには、「OVAL(オーバル)」と「VOL(ボリューム)」の2種類があります。OVALは、米の対流が起きやすいように、底面が丸みを帯び盛り上がっていて、「炊く」「煮る」に強いモデル。VOLは、底面が平らになっているので、「炊く」「煮る」に加えて、「焼く」「炒める」といった用途にも適しています。今回はこのVOLを使って、いろいろ試してみました。

VOLはオーディオのボリュームをイメージした特徴的なデザインで、フタの切り欠きの位置によって蒸気の通りを調整できます
フタの内側には凹凸があり、内部の上記がフタにあたって、それがまた食材に降りかかり、食材をおいしく調理できます

炊飯と煮込みでは本領発揮

 VOLはオーディオのボリュームをイメージした特徴的なデザイン。2016年のグッドデザイン賞も受賞しています。フタの部分のカラーはオレンジのほか、レッドやグリーンなど他の色も用意されています。フタに2カ所の切り欠きがあり、ここを本体のマークと合わせると蒸気の通り道ができます。この蒸気の通り道をクローズすることで、無水調理も可能になります。

炊飯のおいしさを堪能

 まずはごはんを炊いてみました。マニュアルに沿って進めると、米3合に対して、水は650mlと少し水分は多めです。沸騰したら、中火で5分、そのあと中弱火にして8分で火を止めます。10分蒸らしたら完成です。炊き上がったごはんは、粒が一粒一粒しっかりわかる、しゃっきりしたごはん。香りが強く、甘みはしっかり感じられます。ごはん本来の味が楽しめ、冷めてからもおいしく食べられました。短時間で炊けるうえに、なによりおいしいのがうれしいですね。

ごはんの炊き上がりは見事。米が一粒ずつきちんとわかり甘みもしっかり感じる。冷めてもおいしいごはんです

無水調理でカレーを作る

 つぎに無水チキンカレーを作ってみました。はじめにタマネギを炒めてから、ホールトマトや鶏手羽元などを入れ、スパイスとカレー粉を入れて煮込みました。30分程度煮込んだら、最後にココナッツミルクを入れて、塩で味を調えて完成。野菜の濃厚な味にスパイスのきいた、インド風のカレーになりました。辛みのスパイスを抑えれば子どもでもおいしく食べられます。鍋の素材が肉厚なので、蓄熱性が高く、煮込みの効率もいいのが特徴です。短時間で素材の味がしっかり引き出されていました。

鶏手羽元を使った無水カレー。野菜の甘みが凝縮されておいしい。煮込みの効率も良く短時間で肉もほろほろ

使い勝手がよく用途も多様

ハンバーグもおいしくできる

 そのつぎはハンバーグを焼いてみます。付属レシピに沿って、中火でフタをして2分焼き、焼き色がついたら裏返してフタをして弱火で5分、火を止めてそのまま3分余熱で火を通しました。熱効率がいいので、焼き色にむらがなくきれいに焼けました。表面はかりっと焼けつつ、中は火が入りすぎていないので、ふっくらと仕上がっています。オーブンで焼き上げたようなできあがりです。ステーキなど、肉を焼くのにもとても適している鍋です。

焼くのも得意で、表面もむらなくしっかり焼き付けられる。ハンバーグはオーブンで焼き上げたような、ふっくらしたできあがり

白身魚のブレゼ

 さらに白身魚のブレゼを作ります。焼く、炒める、蒸す、煮るが一体になった料理で、この鍋の特徴が生きるでしょう。はじめにオリーブオイルで魚を皮目から焼いて、一度取り出します。キャベツやニンジンなどの野菜をさっと炒めて、アサリやトマトを入れて、白身魚を戻したら、白ワインを入れて蒸し煮。20分ほどでアサリの口が開いたら完成です。鍋の蓄熱性が高いので、そのままテーブルに持っていて、取り分けてもいいでしょう。もちろん皿に盛り付けてもメインになる一品です。白身魚はふわりと仕上がり、魚介の旨みがしみこんだ野菜もおいしく食べられます。

白身魚のブレゼは、焼く、炒める、蒸す、煮るを使った料理。デザインがいいのでそのままテーブルに持っていっても◎

手入れもしやすくおいしくできる

 この鍋は内側部分がセラミック加工されているので、肉などの焼いても焦げ付かず、後の手入れもさっと洗えばよく手軽。決して軽い鍋ではないですが、鋳物ホーロー鍋に比べれば重くありません。熱源もガスやIH、オーブンと使い勝手がよく、用途も多様で、料理の仕上がりは文句ありません。問題は価格でしょう。しかし高級炊飯器に10万円かけることを考えたら、炊飯だけでなく多彩な用途で使えるので、そう考えるとこの製品はかなりお買い得であるともいえます。

穴織カーボン アナオリカーボンポット VOL /ANAORI CARBON POT ボリューム