世界が認めたステンレス一体構造の包丁「GLOBAL」

 調理道具の中でもっとも使用頻度が高いものは包丁でしょう。調理はおもに食材を切ることから始まり、下ごしらえでは包丁を使う時間が多く、それだけに長く使えて愛着のわくものを使いたいものです。GLOBALは日本の吉田金属工業が生み出した、オールステンス一体構造の包丁。1983年に発売されると、そのかつてないコンセプトとデザインは、当時の日本では受け入れられませんでしたが、海外のシェフから賞賛を得ました。そして海外での評判を受け、日本でも逆輸入の形で人気を博したというアイテムです。

機能美を感じる美しいデザイン

 吉田金属工業は、金属加工で有名な新潟県燕・三条地区の洋食器メーカーとして出発。ステンレス加工の技術を活かし、テーブルナイフで培った製造ノウハウを応用して、オールステンレスの包丁を生み出しました。ステンレス一体型のそのデザインは非常に美しく、機能美を感じさせます。プロダクトデザインは山田耕民氏で、グッドデザイン賞はもとより、ニューヨーク近代美術館のMoMAにも収蔵されるなど、世界中で評価されています。

 包丁には大きく分けて和包丁と洋包丁があり、和包丁は切る食材ごとに種類があるといえるほどですが、一般家庭でおもに使われる洋包丁は、写真に見るような形状の三徳包丁(または牛刀)がほとんどです。形状による違いはあまりなく、刃渡りなどのサイズ違いによる。肉、野菜、魚と幅広く使えるので、家庭用ならこれが1本あればいいでしょう。さらにあると便利なのが小型のペティナイフ。ちょっとした野菜や果物などの皮むきなどには、小型で扱いやすいペティナイフが便利です。

 GLOBALの包丁は、見た目のデザインだけでなく、実際に握って、使ったときのバランスの良さや、切れ味などにも定評があります。さらにきまたステンレス一体型ということで、手入れなどの手間や面倒も少ないのも特徴です。

見た目よりも重さを感じないバランス

 ステンレス一体型の三徳包丁は、一見重そうに見えますが、持ってみると思ったほどの重量感はありません。実測してみると約180g。家にあった持ち手が木製の19cm牛刀は約150g、強化木の21cm牛刀は約200gだったので、特別重いわけではありません。

 ステンレスの持ち手部分は上下が薄くなっている形状で握りやすくなっています。さらに表面にはくぼみのついたドットがあり、これが持ったときの滑りにくさにつながっています。男性でも女性でも手の大きさに関係なく、手にフィットする形状といえます。

 早速トマトをカットしてみました。皮の表面に刃先をあてて、包丁を滑らすように動かすと、すーっとカットできます。手元の柄の部分に重量のバランスがあるので、力を入れないでも包丁の重みを使って動かすと自然に切れている印象です。崩れやすいトマトでも5ミリ程度の薄切りがさくさくと作れます。

 よく切れすぎる包丁は怖い、という声を聞きますが、実はこれは誤解。よく切れる包丁なら、力を入れなくてもすっと切れるので、誤操作が少ないのです。逆に切れない包丁を使っていると、切るときに力を入れる癖がついてしまうため、包丁の刃がうまく食材にかからなかったときに滑ってうっかり手を切ってしまうのです。切れない包丁こそ危険なのです。

 つぎにキャベツの千切りも行ってみました。包丁の適度な重みを利用してリズミカルにさくさく切れます。さらに調理した鶏肉なども切ってみます。表面のこんがり焼けた皮目も、もも肉特有の筋もさくっと切れます。魚の切り身を薄切りにするのも快適。これくらいきれいに切れると調理が楽しくなります。

 もうひとつのペティナイフもフルーツの皮むきに使ってみました。こちらは小型なので野菜や果物などの細工などに適しています。持ち手の部分の下側が平らになっていて、ぎゅっと握りやすくなっているのも細かい作業に向いています。

包丁はメンテナンスも大切

 オールステンレスの一体型なので、刀身と持ち手の間に水が入るようなこともなく、衛生的で洗いやすく、長持ちします。丸ごとざっと洗ってきれいにしておけます。中性洗剤で洗浄し、水気をよく拭き取ればOKです。ただし食洗機の使用はNGです。洗浄・すすぎの際に水を循環させているため、微小の汚れが表面に付着してしまい、その状態で高温乾燥させることで錆の進行を促してしまうからです。

 また鋼の包丁や金属製の鍋などと長い間接触させていると、もらい錆(さび)を受けたりするので注意が必要です。一口にステンレスといっても金属の配合はさまざまで、錆びにくい素材ではありますが、錆びないわけではありません。基本は使ってすぐに拭く、を励行しましょう。

 またどんなに切れる包丁でも、使っているうちに切れなくなってきます。本来なら砥石で研ぐというのがもっとも効果的ですが、これは慣れが必要で手軽には行えません。GLOBALではそうした人向けに、両刃のステンレス包丁用の簡易シャープナーを用意しています。セラミック製の研ぎユニットに包丁を入れて、軽く手前に6〜10回引くと、切れ味が一時的に回復します。日常的な手入れはこれで十分でしょう。

 また同社では有償の研ぎ直しサービスを実施しています。刃付け職人による仕上げによって、抜群の切れ味が回復します。ふだんはシャープナーを使いながらメンテナンスし、定期的にこのサービスを利用することで、最高の状態を維持できます。

 100円ショップでも包丁は売っていて、はじめのうちはそれなりに切れますが、すぐに切れなくなってしまいます。数万円もする鋼の和包丁の切れ味は素晴らしいですが、手入れにも神経を使います。ステンレス一体型のこのGROBALは、使いやすく、優れた切れ味で、末永く使える製品でコストパフォーマンスにも優れます。さらにステンレスの男性的な美しいデザインとスタイルも魅力で、キッチンにあるだけで喜びを感じられるアイテムといえます。

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