プロからの支持が圧倒的に高いミソノ刃物の包丁
日本は優れた包丁の多い世界でも名だたる包丁王国で、多くの包丁メーカーが存在します。そうした包丁メーカーの中には誰でも知っているブランドだけでなく「知る人ぞ知る」というブランドも少なくありません。
今回紹介するミソノ刃物は、プロの料理人による使用率が非常に高く、その実力には定評のあるブランドです。今回はそのミソノ刃物の製品の中からハイエンドモデルの「UX10」を使用してみました。
contents
伝統の職人技術が活かされた製法
伝統技術を受け継いだ職人の匠の技
日本にはいくつかの有名な刃物の産地があり、ミソノ刃物のある岐阜県の関もそのひとつです。鎌倉時代から刀鍛冶が集まり、「関の孫六」といった名刀も生んでいます。
その刃物作りの伝統技能は受け継がれており、今なお世界でも有数な刃物の産地として知られています。ミソノ刃物も古くからの伝統の技を受け継いだ職人集団による匠の技と、精密機械との融合による手作り生産を行っているメーカーです。
大量生産の安価な包丁は、鋼材をプレスで抜いて、それに熱処理と研ぎによって刃を付けただけで造られています。
しかしミソノのUX10は、厳選されたEU製の高純度ピュアステンレス特殊鋼の金属材料を使用し、鍛造、形作り、熱処理、研削、研磨加工、刃付け加工などの工程でできあがっています。
その工程の多くには職人による手作業があり、1本1本が手作りで仕上げられています。
ハイエンドモデルのUX10
UX10はミソノ刃物のラインナップの中でも最高峰のモデルです。ステレンス鋼ならではの錆びにくさと、鋼(はがね)のような硬度を兼ね備え、鋭い切れ味が長く持続し、しかも研ぎやすいという特徴を持っています。
どんなに切れ味のいい包丁でも使っているうちに切れ味は落ちてきます。特に大量の食材を切るプロの現場では、その切れ味がどれくらい持つのかが重要視されます。そして切れ味が落ちてきたときに、容易に研げ、切れ味を回復できるかという点も求められます。
そうした要求に応える包丁として、プロからの信頼が厚いのがこのUX10です。今回はUX10の牛刀とペティナイフを使ってみました。
握りやすく重さを感じないバランス
240ミリの牛刀を使う
三徳包丁や牛刀などの刃渡り(長さ)は、一般家庭では210ミリ以下のものを利用されることが多く、240ミリ以上のものはプロが使うことが多いといわれます。今回使用するのはプロ仕様の240ミリの牛刀です。
牛刀はもともとは肉を切る包丁として使われますが、実際には、肉も野菜も魚も用途を選ばずに使える万能包丁です。240ミリという長さは、丸ごとのキャベツなど大きいものがさっと切りやすい長さで、慣れればこのサイズも家庭でも使いやすいです。
UX10ではハンドル部分に、積層黒強化木を用いており、握ってみると手になじんでしっくりとくる形状です。ステンレス一体型の包丁のような、握ったときの冷たさを感じなく、しっかりと握って作業できる印象です。
牛刀の重さを測ると約240グラムで、以前に紹介したグローバルの三徳包丁が180グラムだったのに比べると数値上は重くなっています。しかし重さの重心が手元側にあるので、包丁を使うときに刃先は重く感じません。
キャベツの千切りも快適
実際にキャベツを切ってみました。丸ごとのキャベツもそのまま半分にカットできます。その切れ味は素晴らしく、力を入れることなく芯の部分もすっと切れます。
そのまま千切りにしてみましたが、これもさくさくと切れていきます。手元に重さのある重心のバランスは、刃先が軽く感じるので、長く使っていても疲れにくいです。しかもシャープな切れ味で、気持ちよく野菜をカットできて快適です。
魚の薄切りもしやすい
続けて、魚の切り身を薄切りにしてみました。弾力のあるヒラメの切り身も、刃を滑らすようにすっと動かすと、非常に薄くきれいにカットできます。刃渡りが長いので刺身包丁のような使い方もできます。刃先が鋭いので肉などの筋切りなどもしやすく、野菜のカットもしやすい。この優れた切れ味によって、あらためて牛刀の万能な使い勝手とを実感できました。
ペティナイフを使ってみる
もう一点は120ミリのペティナイフ。野菜の皮むきなどの細かい作業をするには、短いペティナイフが使いやすいでしょう。使い勝手がいいので、プロのシェフでもほとんどの作業をペティナイフで行う人もいます。これを使って、フルーツなどのカットをやってみました。
牛刀と同じ積層黒強化木のハンドル部分は持ちやすく、末端の少し膨らんだ形状部分に、小指をかけてしっかり安定して握れます。刃の手元側を使えばしっかりと支えられて野菜の皮もむきやすいです。その一方で、先端の鋭い部分を使うときは、グリップが安定しているので細かい部分の作業もしやすく感じました。
研ぎやすく刃が付けやすいのも利点
またこのUX10の大きな魅力として研ぎやすさがあげられます。包丁の中には非常に硬い鋼材を使って、なるべく切れ味を長持ちさせるという包丁もあります。しかしそれでも使っているうちに切れなくなってきます。そのとき、硬すぎる鋼材は、研ぎにくく刃をつけにくいのです。ところがUX10は鋼材に粘りもあり、研ぎやすく刃を付けやすいのも利点です。毎日使い続けるプロの現場では、この点も高く評価されているのです。海外でもこの包丁の評価は高く、アメリカの専門誌において、シェフの選ぶNO.1包丁として紹介されたこともあります。
今回牛刀はプロ仕様の240ミリの牛刀で紹介しましたが、一般家庭で使うには、210ミリでもいいですし、細かい作業を1本でこなすタイプや女性が使うなら180ミリも使いやすいでしょう。
プロからの支持が圧倒的に高いミソノ刃物の包丁 いずれにしても、ステンレス鋼材の包丁としては、切れ味の鋭さと持続力、研ぎやすさにおいては、最上位の包丁といえます。見かけの派手さはないですが、プロからの評価の高い実力派の包丁がほしいなら、UX10はおすすめです。